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能登半島地震と鳥取西部地震、なぜ被害の大きさが異なるのか

 能登半島地震で大きな被害が出たが、当初大規模救援を出動させることがためらわれたという。本州で起きた地震をいくつか比較する。

 能登半島地震M7.6、鳥取西部地震M7.3、阪神大震災M7.2

 地震の強震域を分析する上で重要なのはマグニチュードと余震域である。余震域は本震で地盤のひずみエネルギーが放出された部分とほぼ一致する。言い換えれば余震域が壊れて地震のエネルギーを放出する。だから、余震域では強い振動が起こり、そこから少し離れると揺れが小さくなる。3つの地震の余震域を見よう。

能登半島地震

鳥取西部地震

阪神大震災

能登半島地震では輪島市と珠洲市の中心部は余震域の中にあり、しかも浅い。この2市は地震の震動を発する地盤の上にある。

 鳥取西部地震の場合、余震域は小さい。本震の深さは9km。余震域は中国山地にある。山間部の平地には集落はあるが、沖積層のような厚い軟弱地盤はないと思われる。地盤の固有振動数は建物の固有振動数より高いため、倒壊しにくい。

 余震域の近くに米子市がある。余震域の端から米子駅まで約5km。その意味を考えるため阪神大震災の余震域を見る。

 阪神大震災では神戸市が余震域がすっぽり入ったため、沖積層のある海岸側で極めて大きな被害が発生した。ところが、神戸市に近い明石市では被害は少ない。明石駅付近と余震域の端の距離は約5kmである。

 米子駅付近から西側一帯は沖積層が厚いため、余震域に入ると重大な被害が予想されるが、余震域から5km程離れていたため、比較的被害が小さかったと思われる。

提言

 マグニチュード7程度以上の地震では、余震域で沖積層が厚い地域では倒壊家屋が多数発生する可能性が高い。日本では、多くの都市は沖積層の上に形成されている。

 よって、M7程度以上の地震で都市部に余震域があれば、大規模な被害が必然であると予想できる。情報がないのは地震で通信機能が遮断されたため。情報が出てこないのは大被害の予兆でる。阪神大震災の時は、神戸市の情報が報道されるのがかなり遅かった。大地震では本震直後から余震が多数発生するので余震域は本震発生後数時間で確認できる。

 地震のマグニチュードが7を超え、余震域が都市を含んでいれば大規模な救援活動を直ちに始めるべきである。被害情報が入るのを待つのでは遅すぎる。

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