イージスアショア秋田 説明資料のミスについて

今年の共通テストでイージスアショアのミス問題に似た問題が出た、r3年12月に防衛省が地元説明会を開いた、などイージスアショアの問題が注目されている。

何が問題だったか振り返ってみよう。NHKのWebサイト「注目の発言集」によると、2019年6月6日の日付で、岩屋防衛大臣は衆議院安全保障委員会で次の発言を行っている。

「断面図の高さと距離の縮尺が異なっていたことに気づかずに計算した人為的なミスで、調査結果全体の信頼性を失墜させかねないもので大変申し訳ない」

断面図とは次の資料のことと思われる。この資料は現地説明会で配付され、防衛省からネットで公開されている資料である。

大臣の発言とこの資料で、腑に落ちた。

まず、資料を見て感じたことは、山の仰角が「異様」に揃っている。8カ所のうち5つが15°、2つが17°、1つが20°。仰角としてこの数値は少し大きい感じがする。

ある地点から山頂を見上げた仰角が8つのうち5つが同じというのはあまりに不自然。実際の断面を縦、横を揃えて変形させればこのような図を作成出来る。図として見やすくするため、実際の断面を縦方向に拡大したのだろう。断面図の縦横サイズが8つとも同じだから、仰角も図で測れば同じような角になる。

仰角を求めた方法は、赤い線が引いてあるから、おそらく計算ではなく、この説明資料の元の図面に直接分度器を当てて角を測ったのだろう。多くの場所は位置の特定が難しいが、秋田M男鹿市は石油国家備蓄基地なので場所がわかる。水平距離をWeb地形図で測ると9.49km。仰角を計算で求める。

arctan(712/9490)×180/3.14159=4.29

つまり仰角 4.3°。これを15°としたのだから非常識なことをやったものである。資料の信頼性、いや、自衛隊の信頼を大きく毀損したということなのだろう。結果、事業の全面撤回に追い込まれた。


なぜこんなミスをしたのか。個人的な意見としては、リアリズムの不足乃至は欠如によると思う。学校教育の限界かなとも思う。遊びの不足ともいえようか。

教科書や問題集やテスト対策などで、確実にきれいに解ける問題を解くことには多くの人は慣れている。実際、テスト問題を解くことができないと大きな不利益を被る。ところが、その辺に転がっている些細なことから自分なりに何か見いだすとか、何かやってみる、といったことにはあまり関心を持たない。自分で実物を観察したり、作ったり、壊したり、工夫したり、友達から様々な情報を得たりとか、そんな経験を数多くする必要がある。現代人は子どもの時、いろいろと遊ぶ経験を十分出来ていない。遊ぶことは、勉強する以上に人には重要なことと思った次第である。



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